コペンハーゲンとバレエ:王立劇場に受け継がれるブルノンヴィルの遺産

目次

北欧の芸術都市・コペンハーゲン

デンマークの首都・コペンハーゲン は、北欧デザインや美食の街として世界中の旅行者に人気の都市です。街を歩けばカラフルなニューハウンの港町や、近代的な建築が融合する景観に出会えます。そんなモダンで洗練された都市が持つもう一つの顔が、「バレエの都」としての側面です。

コペンハーゲンはヨーロッパのバレエ史において特別な位置を占めています。その理由は、19世紀に活躍した振付家 オーギュスト・ブルノンヴィル(August Bournonville) の存在にあります。彼が築き上げた「ブルノンヴィル・スタイル」は、今日に至るまでデンマーク王立バレエ団の伝統として受け継がれ、世界中のバレエ愛好者を惹きつけています。

デンマーク王立劇場とデンマーク王立バレエ団

コペンハーゲンの芸術の中心が

です。1748年に創設された歴史ある劇場で、現在もオペラ、演劇、そしてバレエの本拠地として活躍しています。

ここを本拠地とするのが

です。世界で最も古いバレエ団のひとつであり、特にブルノンヴィル作品の継承で知られています。『ナポリ』『ラ・シルフィード』『恋人に贈られた花』などは、ブルノンヴィルの独特な振付と北欧的な詩情が融合した作品で、今日でも頻繁に上演されています。

ブルノンヴィル作品は、軽やかなステップ、優雅で抑制の効いた動き、そして人間味あふれる表現を特徴とし、他のヨーロッパのバレエとは一線を画します。その伝統を守り続けていることが、デンマーク王立バレエ団を特別な存在にしているのです。

ブルノンヴィル・スタイルの特徴と世界的意義

「ブルノンヴィル・スタイル」と呼ばれる踊り方にはいくつかの特徴があります。

  • 軽やかな跳躍と速い足さばき
  • 表現よりも自然な動きを重視
  • 技術と音楽性のバランスの良さ
  • 男女の役割の平等性

このスタイルは、華麗な技巧や大げさな演技よりも、誠実で人間らしい舞踊表現を大切にしており、クラシックバレエの中でも独特の温かさを感じさせます。20世紀以降、世界のバレエ団がブルノンヴィル作品をレパートリーに加えるようになったのは、彼の芸術性が普遍的な魅力を持つからにほかなりません。

デンマーク王立バレエ学校と人材育成

未来のダンサーを育成するのが

です。ここではブルノンヴィル・スタイルを基盤とした教育が徹底されており、子どもの頃からバレエと音楽、そして北欧的な芸術観を学びます。

卒業生の多くが王立バレエ団のメンバーとして活躍するだけでなく、海外の有名バレエ団にも進出し、ブルノンヴィルの伝統を世界に広めています。

コペンハーゲン観光とバレエ体験

コペンハーゲンを訪れる旅行者にとって、バレエ鑑賞は忘れられない体験となります。

  • 公演情報やチケットは
    王立劇場公式サイト
    から予約可能。ブルノンヴィル作品はもちろん、クラシックやコンテンポラリー作品も幅広く上演されています。
  • 劇場自体も美しい建築で、近代的なオペラハウス「オペラエン(Operaen)」と併せて訪れるのもおすすめです。
  • バレエ鑑賞とあわせて、ニューハウンの港町、アンデルセン童話で有名な「人魚姫の像」、
    チボリ公園
    を巡れば、芸術と観光をバランスよく楽しめます。

さらに、デンマーク観光公式サイト

では、バレエを含めた文化体験の最新情報がチェックでき、旅行計画に役立ちます。

コペンハーゲンのバレエが持つ特別な魅力

コペンハーゲンのバレエは、伝統を重視しながらも北欧らしいシンプルさと人間味を兼ね備えています。ブルノンヴィルの遺産を守り続けることは、単に過去を保存するのではなく、芸術の本質を未来に伝える試みでもあります。

北欧の澄んだ空気の中で、歴史的な劇場でバレエを観る体験は、観光の枠を超えた深い文化体験となるでしょう。

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